身のまわりにあるさまざまな枠組みに目を向けてみましょう。そして、疑ってみましょう。
「ほんとうにそれ以外にない?」「別の可能性はない?」と。
本展覧会がタイトルに掲げている「想像しなおし」は、このように現状を疑い、別の可能性を模索する態度のこと。本展では、「想像しなおし」の実践者として、新進気鋭の6人のアーティストを取り上げます。
作品に生物を介入させることで、人が人のためにつくり出した環境や素材の意味を宙吊りにする狩野哲郎。無数に吊られた小さな球体が描き出すメッセージによって記憶と経験の関係を撹乱させる川辺ナホ。ビニールや接着剤など身近な素材を用い、軽やかでいて壮観な彫刻をつくる大西康明。織物の糸をほどき、通常は見えない内側にある構造や歴史を引き出す手塚愛子。ワークショップを行い、子どもたちを従来の教育とは異なる地点へと導く山本高之。海に生きる者たちを案内役に、新たな感覚を目覚めさせる空間を創出する山内光枝。
彼らは目の前にある物事の先に視線を向け、既存のものの捉え方を少しだけずらし、手を加え、新しい可能性を示していきます。そして、ジャンルも用いる素材も方法論も6人6様な新作インスタレーションを経験したとき、私たち一人一人もまた、この世界を「想像しなおし」ていくことになるのです。
※本展のタイトルはテッサ・モーリス=スズキ『批判的想像力のために』(平凡社、2002/2013年)から引用しています。
撮影:山中慎太郎、写真提供:福岡市美術館
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