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小林 公 「ポンピドゥー・センター・コレクション フルーツ・オブ・パッション」
Tadashi Kobayashi [ Fruits de la passion La collection du Centre Pompidou ]

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About the Exhibition

Exposition organisée par le Hyogo Prefectural Museum of Art, Kobe, et le Centre Pompidou, Paris フランス、パリのポンピドゥー・センターにあるパリ国立近代美術館は、1977 年の開館以来、ニューヨーク近代美術館と並んで近・現代美 術に関する世界で最も重要な拠点として知られています。特に現代美術の収...

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会場: 兵庫県立美術館

会期: 2014 年1月18 日~3月23 日

About the Speaker

小林公(兵庫県立美術館 学芸員) 1976年新潟生まれ、横浜育ち。早稲田大学大学院文学研究科(芸術学専攻)修了。2004年より現職。最近の主な企画に「フルーツ・オブ・パッション ポンピドゥー・センター・コレクション」(2014年)、「あなたがほしい i want you」(Weltkunstzimmer, Düsseldorf)、「超・大河原邦男展」(2013年)など。

About the Artist

03;34 マグナス・フォン・プレッセン マグナス・フォン・プレッセンは人物や建築物、風景といったモチーフを利用しながら、画家の内面のイメージをどうしたら再現できるか、という課題に取り組んできました。《階段》は2003年のヴェネツィア・ビエンナーレに出品された作品です。題名のとおり階段のある空間をモチーフとはしていますが、大ぶりで印象的な筆触の繰り返しによってある形が生まれ、それがある時には絵具のしたたりやむらへと解消されてしまう、といった複雑で定まる所のない鑑賞体験が大きな魅力となっています。 05;16 イザ・ゲンツケン イザ・ゲンツケンはドイツを代表する作家のひとりです。彼女の作品は彫刻を基本としながら、彫刻というジャンルの枠におさまらない要素を常にあわせ持っています。例えば2000年代に始まるガラス板を用いた作品では建築や都市空間に対する関心が積極的に盛り込まれており、この作品もそうした例のひとつです。色とりどりのガラスを組み合わせたシンプルな構成ですが、この「彫刻」作品は緊張感ある建築的なバランス、日用品の存在、透明な色彩の美しさといった様々な要素を含んでいるのです。 10;20 ファラー・アタッシ 《作業場》は赤、青、水色といった鮮やかな色彩が印象的な作品です。この赤と水色のタイルのような四角形を追っていくと、壁や天井がある室内空間が見えてきませんか?床には段差もあるようです。それでは画面の下の方に描かれた建物は積み木のオモチャかなと思って見ると、丘の上に立っているように見えるものもあります。部屋の中なのかそれとも屋外の風景なのか。不思議な空間がここには広がっています。 13;29 カーティス・マン カーティス・マンはインターネット上にある写真を元に制作を行うアメリカの作家です。写真の多くはレバノンやイスラエル、イラクなど中東における紛争と関連のあるものです。彼はこうした写真を大きなプリントにしてから、ニスを使って画面のある部分を覆い、それから漂白剤に浸して画面を変化させます。ニスで保護された部分の画像を残して、それ以外の部分は異様な世界を描き出します。このようにして生まれた現実と非現実の世界が混然となった作品は、写真が写す真実とは何かと問いかけてもいるようです。 16;45 アンリ・サラ モニターの映像は、作者の故郷であるアルバニアの首都ティラナで大晦日に撮影されました。夜空をよぎるのは新年を祝う「公式な花火」、そして「人民のロケット花火」です。屋根の上の「DJ」が大音響で音楽を奏で始めてしばらくすると、花火がなんとも不思議な動きを始めます。サラが旧社会主義国家に生まれ、国家体制の崩壊を10代の頃に経験したことは、本作のような初期の作品には、少なからず影を落としています。 18;55 ジェイソン・ローズ 《ボーブールの雌猫》は言わば現代版のシャンデリアといったおもむきの作品です。このシャンデリアには電気のコードがからみ、17個のネオン文字が吊るされています。これらの文字は、アンズ、愛の街、帆立貝、ムール貝、地下室の換気口などの意味を持つ、一般的なフランス語の単語です。ただし、これらの単語は隠語として女性器を想起させるものでもあります。ボーブールとはポンピドゥー・センターのある地域の名前。題名にも作者の皮肉たっぷりのユーモアが現われています。 22;48 ジャン=リュック・ヴェルナ ジャン=リュック・ヴェルナの展覧会には、総称として「あなた、ちょっとお化粧しすぎじゃない?―いいえ」という展覧会名が与えられています。ヴェルナは写真やパフォーマンスも作品としていますが、この展覧会名には彼にとってデッサンが重要な意味を持つことがはっきりと示されています。ここで言う「お化粧」というのは作家自身の刺青や化粧を指すだけでなく、壁面や布、紙に描かれたデッサンによる作品も指しているからです。本展に出品される作品もそうですが、紙に描かれたデッサンでは化粧品が画材として用いられているのです。 26;12 ツェ・スーメイ まぶしいほどの緑の野原でチェロを奏でるのは、作者自身です。彼女の前に厳しくそそりたつ山々から返される音は、しかし単純な「エコー」=こだまではありません。ぜひ注意して耳を傾けてみてください。まるで人と自然とが、語らいあっているようにも聞こえませんか。2003年のヴェネツィア・ビエンナーレ、ルクセンブルグ館でのツェの個展に出品された映像作品で、この時の展示は金獅子賞(最高賞)を受賞しています。 27;43 エルネスト・ネト 果実のように垂れ下がる塊は、個々存在感があって、かつ全体がひとつの生き物のようにも思われます。中に何が詰まっているのか、ぜひ目だけでなく、鼻も使って探ってみてください(答えはキャプションに記されています)。ネトは、見る人のさまざまな感覚を刺激し呼び覚ます作品で人気を集めるブラジルの作家です。この作品は、ポンピドゥー・センター友の会の現代美術プロジェクト開始の年に収蔵された記念すべき一点でもあります。

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