写真家・篠山紀信の国内公立美術館初となる大回顧展。1950年代後半より写真家活動をスタートさせた篠山は、写真が常に時代の先端を切り取り、時代に挑戦する生の表現であるとの信念から、これまで自身の写真を振り返ることをためらってきた。しかし本展では、ポートレートという一見シンプルな切り口によって、美術館というスペクタクルな空間を大胆に使い、時空と虚構をも超える写真がもつ力を、迫力あふれるスケールで新たなイメージとして蘇らせることを試みた。出品作品として、三島由紀夫から、ジョン・レノン、AKB48、2011年3月11日に起こった東日本大震災で被災された方々まで、「時代の映し鏡」である篠山が半世紀以上にわたり撮り続けてきた人々のポートレート133展を展示。時代を象徴する人々のイメージを通して、日本が歩んできた時代を、そして己を思い起こさせる「写真の力」を改めて問う展覧会となった。
本展は、読売新聞社、美術館連絡協議会との共催で、当館を皮切りに、東京オペラシティアートギャラリーをはじめ、全国の美術館に巡回。当館限定として、ギャラリーⅢにて東日本大震災の無人の風景写真「ATOKATA」を特別展示した。
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