成田亨(なりたとおる 1929~2002 青森県出身)という芸術家をご存じですか。ウルトラ怪獣のデザイン画を描いた人、といった方が分かりやすいかもしれません。彼は武蔵野美術大学で絵画、彫刻を学んだ気鋭の彫刻家でした。同校在学中にアルバイトで映画「ゴジラ」(1954年)の制作現場を手伝ったことをきっかけに、彫刻制作の傍ら特撮映画の世界にも身を置くようになり、1966 年から68年にかけて制作・放映された特撮テレビ番組「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」では、主人公の超人、宇宙人、怪獣、そしてメカニックやセット等のデザインを一手に引き受けます。「ガラモン」、「ウルトラマン」、「バルタン星人」などのキャラクターが誕生して半世紀が経過しようとしていますが、それらは世代を超えて今も親しまれています。それは、彼が芸術家として吸収した同時代美術や西洋モダンアートにより培った造形センスを惜しみなく怪獣デザインにつぎ込んだからに他なりません。
しかし、そうした特撮関連の仕事に注力する一方で、成田の絵画や彫刻への情熱はむしろ高まります。多数の油彩画、水彩画を描きながら、彼は古今東西のモンスターへの関心を深め、モンスター関係の作品も数多く制作しました。それは1990年制作の巨大彫刻「鬼モニュメント」(京都府福知山市)に成就しました。
成田亨と言えば、これまで「ウルトラ」の仕事ばかりに注目が行きがちでしたが、本展では、成田亨という1人の芸術家が歩んだ軌跡を多彩な内容でお届けします。青森県立美術館所蔵のウルトラ関係デザイン原画187点をはじめ、「ヒューマン」、「バンキッド」など特撮関連のデザイン原画や未公開の怪獣デザイン原画、手元に遺した絵画、彫刻、そして本展のために再現された特撮セットも加えた総点数700点により、非凡なる才能を秘めていた奇跡の芸術家の知られざる全貌に迫ります。
Tohl Narita (1929 - 2002) studies sculpture at Musashino Art School but his participation in the filming location of the movie, “Godzilla,” embarked him to step into the world of special effects. While he was active as a sculptor, he designed aliens and monsters that appeared in the TV programs - “Ultra Q”, “Ultraman” and “Ultraseven”. He continued to produce various characters and he became an essential person in the field of special effects. At this exhibition, his original works designed for special effects characters as well as unreleased sketches, paintings and sculptures that are not so well-known will be introduced. We will present the unique creations of the artist Tohl Narita in its entirety.
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