先鋭的な彫刻・空間表現を展開する名和晃平(1975年 大阪生まれ)の美術館で行う2年ぶりの大規模な個展を開催します。名和は、ビーズやプリズムシート、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど流動的な素材・メディアを情報化社会における感覚や思考のメタファーとして扱い、デジタルとアナログの間で揺れ動く身体と知覚のリアリティを表現しています。
名和は、私たちが彫刻を前にしたときに、「ものの表皮」を感性と物質をつなぐインターフェースとして対象をリアルに感知・認知していることに注目し、彫刻を成り立たせている概念を一度解体して、素材の持つ物質性や感覚に訴える質感を私たちの目の前にひらいて見せます。彼は、世界を構成する最小単位であり、感情や感覚が入り込む余地のない単位までイメージを解体することを目指してたどり着いた「細胞、小部屋」などの意味がある「Cell(セル)」という概念をもとに、様々なマテリアルを活用した新しい視覚体験を生み出す作品を発表し続けています。
本展は、「SCULPTURE GARDEN(スカルプチャー ガーデン)」をタイトルに、絵具の自重のみで描き出すペインティング"Direction"、三次元モデリング技術を用いて生み出された"Trans"シリーズや動植物をモチーフとした有機的なフォルムの彫刻作品"Flora"をはじめとして、領域を広げながら展開を続ける作品群を、霧島アートの森の展示室を一体的に使った展示となります。
自然豊かな霧島の地で、名和晃平がつくり出す森(空間)の中を彷徨い、新しい彫刻の世界を御体感ください。
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